1場所は変わり、グリフィスパーク。
アルトと二人、微妙な空気。
そして、距離。
SMSに連絡は済ませてある。
オズマに事情を話したら、欠勤を快諾してくれた。
「その代わり…だ。ちゃんと話して来い。じゃなけりゃ戻ってくるなよ」
そんなこといって、私のお尻を引っ叩いてくれたオズマ。
打ち明けることに、怖くない訳がない。
早乙女の家をアルトに黙って出てきたこと、
後悔はしてないけど、反省はしてる。
アルトも、私も、大きくなった。
「なぁ、ナマエ。」
「…?」
先にこの沈黙を破ったのは、アルトだった。
「…会いた…かった…。俺は、ナマエに会いたかった…」
絞り出すように告げるアルト。
私は息を呑んだ。
こんなに、苦しい思いをさせてたの…?
「俺はずっと探してた…。親父は…何も教えてくれないし…兄弟子も、だんまりだし…」
「アル…」
「だけど!」
「っ…」
「だけど、会えた…っ」
何時の間にかアルトが私の目の前にいて
私は強く抱きしめられていた。
「…アル…っ…」
「会えたから…許してやる…だから、話して欲しい…時間を、埋めたいんだ…俺は、俺はナマエの事が…っ!」
「っ…だぁめ」
アルトの唇に、人差し指を添える。
「その先は、言っちゃダメ…。言ったら私の過去の話、してあげないから」
私にできる限りの可愛さを絞り出していう。
ほんとはね、「私も大好きだよ」って伝えたい。
「ずっと忘れた事なんてなかったんだよ」って。
でも、私は飛行機乗りだから…。
いつ無くなるか分からない命…だから。
だから、ごめんね。
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