1ピンポーン
ガチャ
「…はい、どちら様ですか?」
受話器をとり、応答する。
「ナマエちゃん、私よ、美与。」
「!おからだ、大丈夫ですか?どうぞ、上がってください」
入り口の門のロックを解除する。
「ありがとう、今行くわね」
私も急いで玄関に向かい、扉を開ける。
と、身体を包みこむ優しい暖かさ。
「み、よ…さん…?どしたんですか?」
「ナマエちゃん…っ!!」
「美与さん、…!アルトも」
「お母様、ナマエ」
精一杯両手を伸ばして二人を包み込むアルト。
―その暖かさは、両親のそれと何一つ変わらなくて
「…っ…あった…かい…っ」
―ピンと張りつめていた私の心の糸が
「うああああああっ…!」
―プツリとほどけた
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