6着替えるという名目で、ペンションの建物を一室借りてきた。
ナマエの着替えも持ってきた。
ナマエは、ペンションの入り口で丸くなっている。
「悪い、待たせたな。入るぞ」
「…うん…。」
ガチャリ。
小さな建物だが、ソファやベッド、カーテンまで…一式ちゃんとしている。
「ほら、向こう向いてるから。」
「…うん、ありがと…」
濡れた洋服を脱げば、幾分か寒さが和らいだ。
着替えて、アルトにもういいよと声をかける。
とたん、ふわりと、優しく包まれる。
「アル、と?」
「ごめん。」
「…?」
「ごめんな、気付かなくて。」
「だから、アルトは悪くないよ」
「でも、うれしかった…。
ナマエが、やきもち焼いてくれて。
嬉しかった。だから、ごめんな?」
「ばか」
ふわりと、私もアルトを抱きしめ返す。
でも、あんまり私をいじめないで?
次は許してあげないから!
―このまま、体温が戻るまで抱きしめてやるよ。
―アルトの、ばか。
―(やりすぎちゃったわね)(はいっ…)
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