3「 !」
「るーれーい」
「 !!」
「るーれーいーあー」
「ナマエ!!!!」
バシャバシャと水をかき分け走ってくる…アルト?
「…アルト、どしたの?」
「…っ!どうしたもこうしたも、何してるんだよ!!」
「…え?」
―ランカとシェリルから解放されて、ナマエを探す。
だが、どこにもいない。
誰に聞いても「さっきまでいたんだけど」の一点張り。
くそ、こんな探すことになるなら目を離さなければよかった…。
仕方なく、ひとけのない海辺を散策することにした。
そして聞こえてきた歌声。
陸を見渡すがいない。
じゃあどこに居るんだよ。
耳を澄まし、声を探す。
そして見つけたナマエは、海に腰まで浸かっていた。
つむぐ歌は、いつもより儚くて。
なんだか、消えてしまいそうだった。
「なんでこんな場所にいるんだよ!」
「…別に、関係ないでしょ?私がどこに居たって。」
「なっ…!どれだけ苦労して探したと思ってるんだよ!」
「別に!探してなんて言ってない!!」
「ああそうかよ!」
来た道を勢いよく引き返していくアルト。
ちょっと言い過ぎたかもしれない。
でも、苦労までして探したなんて恩着せがましい。
それに、シェリルのことも、ランカのことも…。
もやもや…するし…。
なんで、もやもやするの?
なんで、涙が、あふれてくるの?
なんかもう、いやだよ。
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