2『そのまま抑えてろ…いま片付けてやる!』
『お前の援護なんているかぁ!俺一人でやれる!!』
『フッ、任せろよ。俺は女も弾も一発必中さ。』
ーミシェルの銃口が・・・わずかだけどぶれてる…?
「ミシェル!駄目!!トリガー引くな!!!」
『ぁ…』
『先輩!バジュラが!』
『っ!!』
「アルト、よけて…!!!!」
ミシェルの発した攻撃はバジュラではなくアルト機頭部側面を…。
…大丈夫、アルトに傷は無い…。
だけど、あの二人は余計に火がついてしまったようで…。
『くっ…ミハエルてめぇ…?!味方をうつなんてどういうつもりだよ…!一発必中って吹いてたくせに…ワザとやったのか?!』
『んなわけないだろ!!』
「やめなさい!!!二人とも戻り次第、個別ミーティングです。帰還します。」
『ふん!』
『『了解。』』
*
格納庫にバルキリーを納め、歩く四人。
「フレンドリーファイヤなんて冗談じゃないぜ、俺を殺す気かよ。…なにシカトしてんだ。何とか言ってみろよ!!」
ミシェルに殴りかかるアルト。
すかさずとめに入るルカ。
ルカの隣で、二人の感情を見守る。
「駄目ですよアルト先輩!…ミスは誰にでもありますよ…!」
「ミスで殺されてたまるかよ!それにこいつはミスなんてしない!狙撃のセンスは姉貴譲りって自慢してたんだからなぁ!!誤射も血筋か??!!」
アルトの心無い言葉が、ミシェルの傷をえぐっていく。
今のアルトには、目の前が見えていない。
…ミシェルにも…。
「てんめぇええええぇぇぇ!!!」
アルトの最後の一言で黙っていたミシェルに火がついてしまった。
次第は掴み合いから、殴り合いに発展してしまった…。
出撃中もだけど、今の二人に私の言葉は通じない。
…身体を張って、それが橋渡しになるのなら…。
…なんて余裕も無かったけど身体が動いていた。
アルトに馬乗りになり、顔面を殴り続けるミシェル。
ミシェルの肩をすこし乱暴につかむと、飛んできたのはミシェルの拳。
バキッ!!!!!!!
直後部屋に響くのは、鈍い音。
「おいミシェル!なんでナマエを殴ってんだよ…!!」
アルトの拳がミシェルに届く直前で二人の間に再び割り込む。
バキッ!!!!!!!
そのアルトの拳も、ミシェル同様ナマエの顔面へ。
「…ちょっとあんたたち…ほんと…いい加減にしなさいよ…。だまって聞いてれば…。」
口内に広がる、鉄の味。
口角を伝い顎から滴り落ちる、アカ。
「アルト。あなた、自分の言葉でミシェルの傷口えぐって…わかってるの?あなたたち、パートナーでしょ?」
「ミハエル。ミスを認める心を見失って…解決はありえない。アルトの言ってることは間違ってる、それを突きつけないでどうしたいわけ?」
「二人とも、私のこと殴って満足したでしょ?ミシェルは自室に戻れ、アルトはカナリアさんのところへいけ。これは上官命令だ。個別ミーティングはナシ。解散!!!」
捲くし立てるように言い切った。
クランとネネとララミアが駆け寄ってくる。
二人はおとなしく居なくなった。
安心したら、力が抜けた…。
とたん、顔面に走る激痛に顔を歪める。
「大丈夫ですか、ナマエさん…!うぅ…いたそう…」
「ナマエっ…!いけないのだ、もう青くなってるのだ…。アルトなんかよりも早くカナリアのとこに…!」
「よし、よし…」
「っ…みんぁ…ひたひよぉ…」
顔も、心も、いたい…。
でも、みんなもいたいんだ。
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