1― 人にはそれぞれ、触れられたくない傷がある。
『おいミハエル、なんで俺たちの班にシェリルなんか入れた…』
『やめましょうよ、アルト先輩…。今一応任務中なんですから。』
『いい加減こいつの適当なやり方には頭に来てんだ。答えろよミハエル。お前がシェリルのマネージャーを口説くダシにしようとかそんなはんぱなりゆうなら承知しないぜ』
回線を介しての通話。
あ。そうか、アルトは知らないんだ。
ミシェルのお姉さんの事…そうだよね、でも…。
―知らないからと言って、傷つけていいわけじゃない。
『ぎゃーぎゃうるせぇな!!!半端なのはどっちだよ。家出して、趣味で戦争やってるお姫様に…』
『ミハエルてめぇ…!!』
―でもそれは、ミシェルも同じだ。
「二人とも、いい加減にしなよ。ここに上官がいることをお忘れなく。それにこれはオアソビじゃないの、分かってるの?」
ピピピピピピ。
鳴り響くのは、新統合軍機よりエマージェンシー回線。
バジュラとの遭遇…急いで現場に向かう。
あ…。話…途中になっちゃった…。
『俺が押さえる…!!誰が趣味で戦争なんてやるか…!!』
「スカル4、突っ込みすぎ。アルト、引っ込みなさい!!」
『問題ない!いける!』
バジュラと接近戦をするアルト。
…個人戦をしてはチームの意味が無い。
『ルカ、ゴーストのデータ回してくれ。』
『了解』
「ミシェル、ルカ、アルトはシングルプレイしちゃってるけど、フォローしつつ連携していきましょう。」
『『了解』』
『あの馬鹿が囮になってるうちに…俺が狙撃で片付ける…』
「了解。でも落ち着きなさい。私はアルトのサポートに回ります。」
スナイパー姿勢で狙いを定めるミシェル。
「アルト、バジュラの動き…封じれる?」
『おいアルト、なんとしてもバジュラの動きを封じろ!狙いがさだまらねぇ』
『分かってるよ!ごちゃごちゃうるせぇなぁ!!』
「ちょっと、あんたたちいい加減に!」
『もらったぁあああ!!!』
格納ナイフでバジュラを切りつけるアルト。
くるくると揉みあいながらも、バジュラを勢いだけで押すアルト。
わずかだが、バジュラに隙がうまれた。
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