2「…い……ど…な………くそっ…」
「ち…だめ…ナマエ…お…ちゃ…」
ブツリ、ブツリと断片的に聞こえる両親の声。
夢と現実の境を行き来する私。
なんとか、重たい瞼を持ちあげる。
「ん…ぁ…ど、した…の…?」
「あら…起しちゃった?」
お父さんも、お母さんも、なんだか様子がおかしい。
携帯持って…誰かと電話してる…?
「ナマエ、聞いてくれ。お父さんもお母さんも、今から仕事に行かなくちゃいけない。」
「できれば、ずっとナマエの傍に居たいのよ?でも、召集かかっちゃったの…。」
「…しょう…しゅ…う。うん…仕方ないよ、お仕事だもん。」
ふ、と
大きな掌が、私の頭をそっとなでる。
「今回は少し長くなりそうなんだ。だからナマエは、SMSでお留守番できるか?」
「オズマくんも居るし、きっと楽しいわよ!」
「オズマ!元気かなぁ、オズマ!」
オズマは、お父さんの同僚兼友人でパイロットさん。
私がSMSに行ってお留守番してる時、沢山遊んでくれる人!
「「決まり!だな(ね)!」」
お父さんの頬にちゅ。
お母さんの頬にちゅ。
無事に帰ってくるからな。
まっててね。
いい子に待ってるね、早く帰ってきて。
頬にちゅ。は、
約束のおまじない。
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