2―突如デフォールドしてきた空母級艦。
そこから放たれた一撃で…
カイトスは落ちてしまった。
本当に一瞬の出来事で、私は自分の目を疑った。
母艦に近づくルカ。
オズマの制止も聞かない…まずい…。
「ルカ、下がりなさい!」
『ちょっと待ってください、もう少しだけ!!』
―後ろから急速に近づいたバジュラに、ルカは反応しきれずそのまま空母級の中に引きずり込まれていった。
『スカル3、ロスト!』
『スカル1何が?!』
『ルカが敵に食われた!』
『食われた?』『撃墜されたの?』
「それは違います。あの船が、ルカを捕獲し飲み込んだ模様です…。」
『ルカぁああぁー!!うおおぉおぉぉぉぉ!!!!』
「っ!アルト??!」
『アルト…?』
『やめろ!お前一人で何ができる??!』
『相手はハリネズミみたいな艦なんだぞ!』
『ハリネズミだろうがなんだろうが!!!』
勢いよく空母級に向かうアルトの機体。
制止するオズマの声もミシェルの声も聞かないアルト。
『ハリネズミだろうがなんだろうが!中にはいっちまえば!!』
『あの野郎…めちゃくちゃだ!!ナマエ!あいつを止めろ!』
「隊長、アルトを援護します!!」
『お前もか…ナマエ!!』
「一人が二人になれば、可能性も上がるはずです。アルト、援護します!」
『クソ!ミシェル!援護射撃を!!』
『っお前ら!!…了解…しました』
バジュラの攻撃をかわし、アルトを狙う弾を落とし進む。
アルトが艦に滑り込んだと当時に、自分の機体も滑り込ませる。
「アルト…」
『ナマエ…』
「いくよ」
『…っ、あぁ!!』
ルカの反応をレーダーで探り、艦内を進む。
…と、バジュラの死骸…?
『なんだ…?!っ』
「うっ…」
(痛い…痛い…。)
……え…なに…この感情…。
(痛い…いたい…)
いやだ…嫌…いや…
『ナマエ!?』
「っ!!あ、ごめん…」
『大丈夫か…?』
「うん、大丈夫…行こう、ルカの所へ。」
艦内を慎重に進む。
バトロイド形態で、歩くように、慎重に。
『「ルカ!!」』
見つけた途端、後ろから迫るバジュラ。
そちらをアルトに任せて、私はルカのもとへと進む。
「ルカ!ルカ!!」
自分の機体のコックを引き、バルキリーを飛び出す。
ルカの機体に自身のエクスギアをドッキングし、ハッチを開ける。
「ナマエ…先輩…?」
「ルカ…もう大丈夫だからね…っ…?!」
(痛い…痛い…)
(なんて…こんなこと…するの…)
(痛い)
(痛い)
(痛い)
頭の中に響く…またこの気持ち…
「…っ…あ…」
自分の意思に関係なく流れ込んでくる感情。
(やめて)
(痛い)
(いたい)
(イタイ)
「や…め…て……い…た…ぅっ…」
痛い…。
(痛い)
(いたい)
(イタイ)
「っ…う…」
ドスリ…
振り返るとそこには…バジュラ…。
『ナマエ!!!!!!!』
「っ…たい…いた…い…いたい…い…たい…」
『おい!ナマエ!!しっかりしろ…!!!!』
いたいイタイ痛い
なんでこんなことするの…
―過ぎる月日は 何を試すの?
あぁ…
歌が…聞こえる…。
まだ…私は…終われない…!!!
「っあああああああ!!!!!」
持てる力を振り絞り、バジュラの手の中を抜ける。
と、アルトがそのバジュラを撃墜する。
「アルト、ありがとう!」
『ルカは?!』
「大丈夫、ルカは生きてる!早くここを脱出しないと…!!」
アルトがルカの機体の動作確認をする。
機体を縛り付けている母艦の糸を切り落とし…いける…!!
「アルトは、ルカを…私は機体に戻り追いかけます!」
「あぁ!!わかった…了解!!」
『スカルゼロ・スリー・フォー応答して』
『マクロス…?』
「こちらスカルゼロ。ルカの救出成功しました。至急脱出します!」
『お姫様、迎えに来たぜー!!』
『マクロスキャノン、発射用意』
『スカルスリー・ゼロ・脱出確認』
『マクロスキャノン、エネルギーチャージ』
『ぶちかませー!!!』
『往生せいや―!!』
粉砕した空母級…。
心のもやもやは取れないけれど…ルカを守ることができた…。
『どう?これがSMSの戦いよ?』
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