3大統領府…レオン・三島の執務室前。
―こんこんとノックすれば『入りたまえ』のレスポンス。
ここに来る前に着替えたSMSの制服。
襟元をキッとしめなおし気合いを入れる。
「失礼いたします。」
扉を開ければ、三島さんと…キャサリンさん…?
「肩の力を抜きたまえ、ミス・ナマエ。今日ここに来てもらったのはほかでもない。君にはシェリル・ノームに引き続き会見をしてもらうよ」
「何の会見でしょうか。SMSは運輸会社です。それに、私が会見する事は何も心当たりはありませんが?」
―ソラネの正体を君だと公表したうえで、これからは名字ナマエとして歌手活動をしてもらう。
頭の中で、ガンガンと響く。
え、どういうこと?
理解しているのに、それを拒む私の思考回路。
無理に立ち上がらせ、言葉を発する。
「お断りします。私は最初の約束で、公表しないという約束をしたはずです。違えるとはなにをお考えですか?」
私のソラネとしての芸能活動には干渉しないという約束。
なのに…何の前触れもなく、おかしい…。
「ほう…なるほど…君は大統領の意向に背くということか?」
「そんなことは「そういうことなんだよ」…っ」
「自分の立場をお忘れかな…?ミス・ナマエ…」
―っ…。
戻れない
私はもう
戻りたい
楽しかった昨日へ
戦いたい
終わらせるために
笑いたい
また平和な世界で
レオン・三島の卓上にある深緑のドレスを手に取った。
私に拒否権なんてないんだ。
やるしか…ないんだ。
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