2「「「「おめでとう、ランカ(ちゃん)!」」」」
コンっ!とコップをテーブルに置くと、ハートマークがランカのもとに集まっていく。
ここは学生に人気のオープンカフェ・シルバームーン。
ランカの芸能活動の第一歩を記念して、皆で集まった。
「ありがとう、皆のおかげだよ?」
皆でガヤガヤ盛り上がる。
これこそ、醍醐味だよね。
ほほえましく見守ってたら、携帯が鳴る。
―pipipi
チラリとディスプレイを見れば、レオン・三島の文字が浮かんでいる。
「あー、ごめん!ちょっと電話してくる!」
ぱっ!と立ち上がり、通話ボタンを押せば…聞こえてくる声。
『やぁ、少々時間は大丈夫かね?』
「はい、ですが友人といるので手短に。」
『そうか…では単刀直入に言おう…。これより、大統領より緊急声明がフロンティア全都に流れる。』
「…え」
『内容だが、あの生き物…バジュラ襲撃の件だ。』
「…」
『もうまもなくだ。ナマエ少佐は軍に関与している人間である以上、その目にキチンと焼きつけたまえ。また、声明終了後至急大統領府まで来るように。以上だ。』
―ブツリ
強制的に切られた電話…。
それは、私に拒否権はないということを意味している。
図ったかのようなタイミングで緊急声明が流れ出した。
電話をしまい、みんなのもとへと歩いていく。
フロンティアのみなさん ハワード・グラスです。
今日は、みなさんに重大なお知らせがあります。
ご覧ください。
―ディスプレイ一面に映るのは…バジュラ。
見覚えのある方もいらっしゃるでしょう。
そう。
これは先日我がフロンティアを襲った生体兵器です。
我々はこの物体を『バジュラ』と呼称することにいたしました。
そしてバジュラによって、わが同胞であるマクロスギャラクシーが大規模な攻撃を受けたのです。
この事態に伴い、ギャラクシーを救うためまた、フロンティアを守るため、ここに非常事態宣言を発令いたします。
―SMSも、特例B項が発令される。
戦いになる…嫌なのに。バジュラとは戦いたくないのに…。
「ねぇミシェル。」
「ん…?どした?」
「大統領府からの呼びだしかかっちゃった。ごめん、後はよろしくね?」
―ポンポンと頭をなでるミシェルの手。
「あぁ…帰ってくるの待ってるからな?」
「うん…じゃあ」
皆に気づかれないようにシルバームーンを後にする。
私は自分の中にある、戦いたくない…そんな気持ちを押し殺し、大統領府へと向かった。
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