1「彼女へのプレゼントかい?」
「あれ…それシェリルの…?」
アルトがマジマジと見つめているイヤリング。
紫色の石が揺れる。
「違うこれは…」
「隠すなって。いやぁー、御見それしましたよアルト先生。まさか、あのシェリルとデートとは。
スナイパーの目は誤魔化せないぜ?」
「くっ…」
「…」
「言っとくが、あれは一方的に振り回されただけで、別にデートでも何でもない」
「キスまでされたのに?」
「んなっ?!」
その二人から離れるように、ルカの隣に向かった時、教室の入り口に男の子がやってきた。
「ナマエー!ちょっと、呼んでるよー?」
「あ、うん。今いく―!」
パタパタと小走りするナマエを見れば、入り口には俺の知らない男がいた。
「彼女であるナマエをほっといて、よくそんな事できるよなぁーアルト姫」
「べっ、別にそういう訳じゃ…!」
「お前は知らないかもしれないけど…ナマエは美星学園のアイドル的存在なんだぜ?ミスマクロスに出場してから、人気にさらに火がついた。」
「俺には関係ない。」
「ほっほー…今の呼びだし見ても…か?」
「…っ!!」
「ただいまー!」
「ちょっとナマエ、どうだったのよ??!」
「どうって?」
「こ・く・は・くっ!!」
「え…?だって私、彼氏いるし…」
「ふぅーん…今の子、美星でも超イケメンって話題の彼でしょ?!」
俺は決して盗み聞きしているわけじゃない。
聞こえてくるだけなんだ。
そう、意図的ではなく…。
「っ…」
「良いから答えろ、この色男!」
二人が仲良く取っ組み合っているのが見える。
ルカもいるし、大丈夫でしょ…。
それより、ミスマクロス以降…本当に男の子からの告白が増えた…気がする。
ソラネの活動はばれてないから…心配はないんだけど…。
ちょっとさすがに疲れちゃった…。
アルトは…あんなだし…。
私ってアルトの彼女なんだよね…?
告白してくる男の子も、口ぐちに『俺なら放っておかないよ』って…私は迷い犬ですか…。
バタバタと足音が近づくと、聞こえたのはナナセの声。
「みんな!大変です!ランカさんが…っ!!」
「「「え」」」
prev|
next