5「すごかったなぁ…正直驚いたよ。」
腕を組みながら、私たちを見下ろすミシェル。
「違うの!アルト君とナマエちゃんのおかげなの!」
「そんなことないよ、ランカの実力だよ?」
すでに日も傾き始めた時間。
もう、今日も終わるんだな…。
一人ぼーっとしていたら、アルトとシェリルが視界に入った。
「そういえば、今日は厄日だ…。」
ぼそりとつぶやいた言葉は、シェリルがアルトの頬にしたキスに書き消された。
「…っ!!//」
息をのむランカと、
「ひゅーっ」
はやし立てるミシェルと、
「…な…」
わたし。
唖然としていると、シェリルがアルトの手を引きこっちに歩いてきた。
「ほぉらナマエ!アルトよ!」
バシッ!と背中を叩かれたアルトが、私の一歩前によろけてきた。
「な…っ!!」
「アルト!ナマエにキスしてあげなさい!」
戸惑うアルトを無理やり私に押しつけるシェリル。
「何言ってんだ、おまえ!」
「…え、なに、これ」
「今日一日借りちゃってごめんね?男なら!ほら!!」
一層力強くアルトを押すシェリル。
ヨロッと倒れてきたアルトが振り向くと、そこには。
「「んっ」」
――なにこれ。
なんで私外でアルトと、キス…
「えーっ!!//」
「ひゅー。お熱いねぇ!」
「わ!!わるい!!!」
「え、あ」
「やればできるじゃない!ふふっ!じゃあ、サヨナラライヴ見に来なさいよ。ナマエは、一曲だけソラネ用のステージも用意してあるわ!」
「え、あ…うん」
「ナマエ、今日のは誤解よ!またね!」
背中を向け手を振るシェリル。
―なんだか今日は、一日すごく疲れた…。
prev|next