1「な…なにを……」
信じられない。
告げられた意味は分かっても、理解ができない。
彼はそんな顔をしている。
私もそうだ…。
サタンのこ…?
この子が…?
この浮いてる悪魔と…同じ…ってこと…?
「わるいな、名前ちゃん。なんにも説明できてなくて…こいつが雪男の双子の兄貴の燐だ。良くしてやってくれ。おい燐!取り敢えずこの修道院を出ろ。」
テキパキとにもつをカバンに詰めながら告げる言葉は、どれをとっても重たく感じた。
「出ろ?!は?!意味わかんねぇよ!それに誰だよ、そいつ!!」
おもむろにカバンを燐に放り投げる。
ドガ!
「ブッ」
おお…クリーンヒット…。
痛そう…。
「これは“神隠しの鍵”…如何なるものを如何なる場所に隠すことができる」
そういうなり、部屋に備え付けられている箪笥の鍵穴に鍵をさしこみ、回す。
ガチャッ
という音と共に、
刀…?
「“降魔剣”…またの名を“倶利加羅”といい、古から伝わる魔剣だ」
重たい。
刀の抱える重さが、
でかい。
なんだろう。
「それは…燐くんの…?」
「ああそうだ。この剣にお前の炎-チカラ-を移植し鞘で封印している。抜けばお前は悪魔の身体に戻り…」
「二度と人間としては生きられないだろう」
突き刺さるのは、
真実の刃。
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