青エク長編 | ナノ

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---------コンコン!



「…んー、誰だ?」


「父さん、僕です。」


「ああ、入りなさい。」




-------ギイイイ、パタン




「紹介しよう。こいつが双子の弟、雪男だ。」


ふわー、すごい優しそうな顔してる…。
あ、でもこういう子は怒ったら怖そうだなぁ…。
もんもん


「…?はじめまして、奥村雪男です。雪男でいいです。貴女は?」


「あっ!私は名字名前です、よろしくね!私も名前って呼んで!」




微笑み合い、手を取り合う。

ぎゅーっ

てのひら、でかい。
ごつごつしてる。



「お兄さんはいないの?」

「ごめんなさい。兄は今、バイトの面接にいってる最中で…」

「ん!じゃあ、次回の楽しみに取っとく!」



笑って、笑って。


しゅるり
しゅるり
心の糸がほどけてく。






ふわっと、身体を包み込む熱。
雪男が私を抱きしめてた。




「名前、泣いてる…辛い?」


「あっ、あれ?
私、なんで…?」




ポンポンと背中を優しく叩く雪男。


あれ…なんで?

そうか、私、辛いんだ。


躊躇いながらも背中に手を回したら、ギュッと抱きしめ返してくれた。




大丈夫だよと。
何かあったら、僕が君を守るから怖がらないでと。




落ち着いた頃、藤本神父が私と雪男、二人を包み込むように抱きしめた。

「名前ちゃん、こちらの勝手で巻き込んじまって本当に申し訳ない。なにか困ったことがあれば、必ず力になる。俺も、ここの人間も、息子二人も。君は一人ぼっちじゃない。」



迷いとか、辛さとか、
私にはもうなくて。


「はい…っ!
私にできる事を精一杯お手伝いさせてください…!!」



離れて、顔を見合わせて、今度は三人で微笑み合う。




ふわっと首からかけられたのは、クロスのネックレス。

藤本神父だ。



「これはお守り。俺からのプレゼントだ」







本当は怖いよ。
悪魔も、自身も。

だけど、大丈夫。
私は道を見つけた。



もう迷わない。




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