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「ここにいたのか、名無し」


少し呆れたような表情をした張遼の姿が現れた。
彼は、二人の姿に気が付くと会釈をする。
そして、名無しの近くにやってきた。

張遼と名無し。
実を言えば、恋仲という関係を持っているのである。



「なかなか来ぬから、少し心配をしていた」

「ごめんなさい、私ったら―。月が綺麗なものだから」

「大方、そんな事だろうと思っていたのだが―」


まさか的中するとは思わなかった―。

張遼は苦笑したので、名無しは笑ってしまった。
その様子を見て、君主と軍師は顔を見合わせる。


「お邪魔になりそうだから。ここは退散しましょうか、曹操殿」

「そうしようかの…」



こうして、二人がいなくなった。
それを確認した後、張遼は名無しを抱きしめる。
名無しは、随分と自分の体が冷えていた事に気が付いた。

そう言えば自分は、上着を着ていなかった。


「寒い季節になっているのだから、何か上に着て貰いたいものだな」

「そんな風に言って、実はこれが目当てだったんじゃないのかしら?」


ふと顔を上げてみれば、張遼は顔を真っ赤にしていた。
どうやら、図星らしい。
それが妙に可愛くて、笑ってしまった。


「何故、笑う?」

「おっかない武将でも可愛い時があるのね、と思って。文遠は真面目だから―」

「そうか」


張遼はふと嬉しそうに微笑んだ。


「ありがとう、文遠」


頬に接吻をして、するり、と張遼の腕の中から逃れる。
地に置いていた二胡を手にすると、振り向く。
何か言いたげな男に向かって、名無しは一言投げた。


「続きは後で、ね」

「ああ、待っている」


答えた時の顔がとても優しげで、何故か体が熱くなった。
ああ、我ながら恥ずかしい言動をしてしまった。

後悔をしても、後の祭なのである。





――――――

まさかの山田さん落ち。
ナンパ二人組がただ書きたかった…w
郭さんが天女に会った話は管理人の捏造です

(2013/11/20)

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