「そちらのナイトは、お友達かい?」
「ああ。ジョニー、この人は俺のフェン友の一人のブローチェだ」
「へえ、ジョニーっていうのかい。よろしくー!」
そう言われて、ジョーもまた「よろしく」と答えた。
そういえば自分の名前は、ジョニーという名前だということに苦笑してしまった。
本名に、カタカナの『ニ』を加えただけの簡単な名前だ。
しかし、何気に気に入っていて、他のゲームでもその名前を使っている。
「ブローチェさんも、ここでのクエストなんですか?」
「ははっ、ブローチェでいいぜ兄弟! まあ、そうなんだけど、ある人物を探しているのさ」
「ある人物って?」
「もしや、伝説の魔女か!?」
ジェットがブローチェに訊ね、ブローチェは頷いた。
伝説の魔女とは何なのか、聞いてみるとかなりレベルが強い魔女なのらしい。
やり込んでいる為に、かなりこの世界に詳しいだとか、
真夜中にしかフェンニーニに現れないだとか、
颯爽と現れて、苦戦している者を助け出したりとか、噂が飛び交っている。
「初心者に手を差し伸べてくれる良き魔女だってさ」
「へえ、そうなんだ」
「俺はどうしてもその魔女に会ってみたいのよ」
ブローチェの、最近ここに登録した友達が会ったらしい。
それを聞いて、色々な場所に飛んでは彼女を探しているのだという。
「何でも、魔女の名前はスイミーだって聞いたよ」
「スイミー? 泳ぐ人ってか?」
「なんでも、真っ黒の衣装を身に纏っているんだとか」
それを聞いた時、ジョーは心の中で「まさか!」と声を上げていた。
『スイミー』という名は、パズルゲームで出会ったプレイヤーと同じだからだ。
と同時に、電車の中で会ったゴシックロリータ・レディを思い出した。
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