「この間、フェン友に耐火武器の事を教えてもらってよ」
その武器を作るのに必要なものが、狩りに行くものの鱗なのだとか。
タコに鱗があるというのも不思議な話だが、ここはファンタジーの世界。
ゆえに何でもありという訳なのだろう。
「おっ、武器がグレードアップしたんだな」
「うん。この間、プレイした時に作ったんだ」
ジョーは、持っている武器をジェットに見せてあげた。
クエストをクリアしてゲットした素材で作った、新しい剣である。
クエストは色々なものがあって、自分にあったものを選べる事が出来るので楽しい。
初めたばかりの時は、ズーズン平原という場所に籠もっていた。
そこは初心者にお勧めのコースで、出没するモンスターもある程度弱いものばかり。
ただ、極まれにイベントで上級モンスターが現れることがある。
ジョーも何度かそのモンスターとご対面したことがあった。
「ところで、コルルオクトパスは何処のステージなんだい?」
「ナッケラー海域だとよ。タコのくせに毒を持ってるらしいぜ」
「そうなんだ。僕の装備は今、毒耐性付いてるから平気」
「ちぇっ、いいなあ。万能薬持ってくか」
準備が終わり、二人はクエストのステージであるナッケラー海域へと向かった。
*
海域には、平原と違って上級者の影が多かった。
剣士や騎士はもちろんのこと、魔法使いや魔女、魔導師もいた。
この仮想空間では、世界中の人々が遊んでいる。
そう思うと、世界は確かに繋がっているようだ。
「よー、ジェイドじゃないか!」
海域を探索していると、ある人物に声をかけられた。
その人は、紫色の衣装を身に纏い、大きな帽子を被った魔法使いだった。
知り合いなのかと聞けば、フェン友の一人らしい。
ジェットよりもやり込んでいる為、レベルは高い。
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