結局―。


「(はあ…、負けちゃった)」


勝敗は、ジョーの負け。相手の勝利である。
きっと液晶画面の向こう側で、対戦相手は勝ち誇っているだろう。
ジョーは何となくそう思いつつ、向かい側の席の彼女を見た。
彼女は何やら嬉しそうに笑みを浮かべている。


『次は、○○、○○に到着でございます』


また、電車がゆっくりとスピードを落としていく。
その間、ゴシックロリータ・レディは荷物をまとめ始めた。
どうやら、次の駅で降りるようだ。
そうして、駅に到着すると、彼女は電車を降りていくのだった。


「スイミーか…」


ジョーは呟きつつ、先ほどまでいた彼女を思い出していた。
なかなか印象に残る女性だった。
もしかしたら、また会えるかも知れない―。

と、電話が掛かってきた。
着信相手は、フランソワーズとあったのですぐに出た。


「もしもし、ジョー?」

「ああ、どうしたんだい?」

「ちょっと頼みたい事があるんだけど、良いかしら?」

「別に構わないよ。何だい?」


頼みたいことというのは、おつかいだった。
買い物に行く予定だったので、ジョーは快く引き受けた。
電話が終わり、再び、プレイしていたゲーム画面に戻った。

―出来ることなら、もう一度『スイミー』と対戦したい。

ジョーはそう思いつつ、ログアウトするのだった。



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