洞窟でのクエストは、ハチクイコウモリを30匹倒す事。
奴らはかなりすばしっこく、強力な顎と爪を持つ。
噛まれると、体力が半分ほど減ってしまうらしい。
「でも、時々レアアイテム落としてくれるらしいから…」
現れたら頑張って退治しないと―。
そう思いつつ、ジョーは宝石の採掘に取り掛かる。
モンスターが現れるまでの暇つぶしというのと、宝石にもまたお目当てがあった。
探している宝石は、アメジストとダイヤモンドの二種類。
それらをある装備の合成に使うと、より良い武器を手に入れる事が出来るのだ。
「(と言っても、宝石もまた尋常じゃない数なんだよなあ…。)」
コーヒーを飲みつつ、慣れた手つきで岩を掘っていく。
やっとの思いでダイヤモンドを二つ掘り起こし、ふと溜め息をついたその時。
洞窟クエストのモンスター「ハチクイコウモリ」が姿を現した。
あらかじめ調べていたのでどんなモンスターか分かっていたのだが、その姿があまりにも不気味で、ジョーは思わずびくっとした。
武器は、これの為に用意しておいた炎属性の『業火焔の槍』だ。
グッと柄を握り締めると、襲い掛かってきたモンスターを切り伏せていく。
「(よしっ、何とかイケる!)」
思っていたよりもあっさり、ばさばさ、とハチクイコウモリは倒れていく。
このまま30匹まで倒せるか…と余裕で思ったその途端、形勢逆転。巨大なハチクイコウモリが2匹姿を現したのだ。
大量にポーションを用意してきたが、果たして倒せるだろうか――。
二匹の巨体が、これまた大きな翼を広げて襲い掛かってくる。
何とかかわすも、親分を守る子分のように小さなハチクイコウモリも襲ってきた。
…このままでは、マズイ。
ポーションで体力を回復しつつ、対戦していると何かがカシャンっと割れる音がした。
見れば、黒い衣装を身に纏った魔女が毒のポーションをモンスターに向けて投げつけている所だった。
ジョーは思わずハッとした。彼女がもしかして、と思いながら。
「あなた、大丈夫?」
「えっ、あ…うん。大丈夫です」
「援護するわ。ハチクイコウモリはあと何匹?」
彼女は、このクエストを知っているようだ。
あと13匹残っていると伝えると、「上出来ね」と呟いた。
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