「まあ、他にも用事があった方もいたみたいですけどね」
「もしや…伝説の魔女?」
その問いに、「知ってらっしゃるようで」とネリノは言った。
他のフェンニーニプレーヤーでも話題になっているみたいだ。
『彼女』の事を知る者は、少なくはない。
伝説の魔女を探すことで夢中になっているプレイヤーもいるのだとか。
「伝説の魔女と言われてますが、もしかしたら男かもしれないですよ」
フェンニーニは、性別を変える事も可能だ。
男プレイヤーだが、選択しているキャラは女性という人もいる。
だから『彼女』が女性という事はまだ分からない。
「でも、私も会って見たいとは思ってますけどね」
ネリノはふと笑みを浮かべた。
ジョーも、「僕も思っています」と答えた。
*
ネリノとの会話が終わり、ジョーは再び広場に戻った。
ちょうどその時、ふんわりと漂ってきたコーヒーの香り。
見れば、フランソワーズがコーヒーを手に部屋に戻っていた。
「おまたせ。遅くなってごめんね」
イワンにミルクをあげていたの、とフランは微笑む。
大丈夫だよ、とジョーはコーヒーを受け取ると、一口飲んだ。
「フェン友さん、出来た?」
「うん、出来たよ」
そう答えつつ、クエストの情報を見る。
今日は一人、洞窟へ行くつもりだ。
そこで取れる宝石が、装備の能力を強くしてくれるアイテムなのだ。
丁度、目的地である洞窟でのクエストもあった。
レベル上げにとそれをクリックし、騎士はピクシェルの洞窟へ飛んだ。
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