「お前の目に俺以外映すな」

泣きそうな顔で、呟く佑吾。
キミは無理だってわかってて無茶を言う。
それに僕が困ったように笑って彼の頬に触れると、今以上にに困って泣きそうに笑う。

「僕が一番大切なのは、佑吾だよ。」
「本当か?」

いつもは周りを威嚇して吼えてるのに、今は捨てられた子犬みたいに瞳をうるうるさせ、呟く。
こんな時でも彼の整った美貌は、崩れることはない。
イケメンはずるいなあ、とか下らない事を考えながら、僕は彼を縛る毒を吐く。
その甘味な毒を彼は拒めない。

「キスも、セックスも、手を繋ぐのも、全部佑吾とするのが一番好き。」

佑吾の顔はなら俺以外とすんなってありありと書いてあるんだけれど、僕はそれを無視する。
佑吾も佑吾で、それを言って僕の機嫌を損ねたくないのか、何も言わない。
ただ、逃がさないとでも言うように、彼の頬に当てた僕の手に自らのをそっと重ねた。

ぴぴ ぴぴぴ

佑吾が何か恐ろしい物を見る目で僕の携帯を見る。
ただのメールだと言うのに。
受信メールを開くと、今から会えないかというセフレからのお誘い。

「…また俺を置いていくのか?」
彼の手に少し込められた力は小さな抵抗。

「…んーん、今日は行かない。ヤる気ないし。」
「そうか。」

少し、はにかんでそっぽを向く。
口許が無防備に緩んでいる。
馬鹿な子ほど可愛いって言うけど、ほんとそうかも。
自分よりでかい野郎がそう見えるなんて末期。

「やっぱ、行こうかな」

何故か胸の中がざわつき、心にもないことを口にする。
立ち上がった瞬間腕を強く引かれ、僕はバランスを崩して倒れ込む。
僕の頭の間に両手を付いて、息が感じられるぐらい間近な彼の顔。
こんなに至近距離でも格好いいなんてほんと神様は不公平だ。

「何、佑吾。」
「………っ…」

俺をふたつの瞳で見詰めながら、何か言いたそうに、口を開く。閉じる。また。
声に出来ない言葉は詰まって、息になった。

「何、佑吾。言わなきゃわかんないよ」
「…駄目だ。」

小さな声で呟く佑吾。
その瞳にはうっすらと膜が張っている。
綺麗で、眼球に手を伸ばした。
途中ではっと気付き、髪に進路を変える。
濃い灰色の瞳に似合うほとんど銀に近い灰色の髪を握りしめる。
彼が痛くないように、でもぎゅっと。

「行くな。行くなよ、慧」
「僕はどこにも行かないよ」
「うそ。うそつき。」
「嘘じゃないよ、僕が佑吾に嘘ついたことある?」
「…沢山」

正直に答えた佑吾に思わず吹き出す。

「ぶっ…確かになっ!」

不満そうな佑吾の顔。
髪をぐいっと引っ張って、頬に軽くキスする。

「佑吾、好きだよ」
「…慧、愛してる」

軽い告白と重い愛の言葉。
これらが対等だなんて滑稽でまたクスリと声が漏れる。

「慧、好き、大好き、愛してる」

呪文のように呟く佑吾。

「怖いくらいに愛してる」
「他の男を見ないように僕の目を抉って、他の男の所に行けないように四肢切断して、他の男の声が聞こえないように耳を壊して、他の男の名前を呼べないように喉潰したいぐらい?」
「…うん」
「でもそれが出来ないのは僕に嫌われたくないから?」
「あぁ」
「そうだね、そんなことしたら嫌いになるよ、必ず」

今の君のままならずっと愛してあげるから僕の毒に縛られてて。



が変質したのは何時からか。
 
(きっと、君より前に。)
 
 



ヤンデレ美形×平凡書こうと思ってたのにどうしてこうなった。
 
これただのヤンデレ美形×魔性狂愛受け(^q^三^p^)
うう…精進します(´;ω;`)
 
 
 
20110815


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