その日から生徒会のメンバーからのいじめが始まった。
生徒会メンバーの誰かが雅からセックスの直接的な原因となったであろう身体中の痣を聞いたのか酷い暴力は受けなかったがねちねちと―――特に副会長から―――恨み言ともとれそうな悪態を聞いた。
更には「男同士でヤるとかキメェ」と宣っていた雅が抱いた俺に興味を示す輩さえ出てきて、心休まる時はなかった。
これが親衛隊のメンバーみたいに見た目が可愛らしくて小さいチワワが相手ならばそこまど興味を示されることもなかったのだろうが、生憎俺はどこからどうみても可愛いなんてことはなく小さくもないので「余程具合がいいのだろう」そんな下世話な噂が広まっていた。
学校を歩けば常に雅が隣にいるので嫉妬と羨望、そして憎悪の籠った悪意の視線に晒され、遠巻きに見つめる奴等からは興味本意の言葉が囁かれる。
寮に戻れば戻ったで、雅が引っ付いてくる。
俺の神経は磨り減っていく一方だった。

あの初めて身体を拓かれた日から学校での態度は相変わらずだが、雅の態度は寮などで二人きりの空間になると別人の様に優しくなった。
毎日、触られはするがすべてが挿入を伴うことはなく負担は少なかった。
しかし、行為の最中はひたすら噛んだり吸ったりして痕を付けるので俺の身体は歯形と鬱血で凄いことになっていた。
体育のある日は予め下に体操服を着ておいて、上に着ていたYシャツ等を脱いだら直ぐに長袖を着るような対策をとっていた。
それでも首元からは赤い鬱血が見え隠れし、周りからの視線をすべて集めているような気がした。
それとなく雅に痕を付けるのをやめるように促すと、付けてはいけない理由を聞かれ、俺は口を閉ざすしかなかった。
理由を言えば雅が他の生徒を牽制し、更に俺への敵対心を煽ることにしかならないことはわかっていた。
雅も雅で俺が抵抗せず従順にしていればいいようだった。
さながら王様の庇護下に置かれ、飼い殺しにされているペットのようなものだった。


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