えろちゅうい















荒い息遣いと、湿った音が暗闇に響く。
佐山の腰の動きからもう達するのが近いのがわかった。
くっ、と熱に浮かされたような声と共にゴム越しに熱が出された。
同時に前を擦られて、俺も達する。
佐山のが中から出ていく感触に声を押さえて耐える。
さっきまで熱と快楽に浮かされていたのに出すもん出せば冷静になって、佐山はいつも避妊具を着けるよなとか考えていた。
佐山も俺も男だ。
お互い好き合って、付き合って、セックスまでする仲だ。
それでも俺らに子供が出来る訳ではない。
だからいくら俺に中出ししようと全く問題はないはずなのに、佐山は絶対にそれをしない。
真面目な奴だな、とは思う。
そりゃ中出しされて放っておいたら腹を壊すし、俺には子宮なんてものはないから子供が出来ることはない。
いいことはないし無意味だ。
それでも、言葉にしにくい何かで中に欲しいだなんて熱に侵された頭はトチ狂った事を考える。
まだ熱が残っていたのかもしれない。
こんなバカな質問をしてしまうぐらいには。

「なぁ佐山、なんで中出ししないワケ?」

佐山は丁度避妊具を捨てて戻ってくる途中で、一瞬驚いたような顔をして口をパクパクさせた。
どうも佐山はこの手の話が苦手だ。
すぐに顔を赤くして違う話にしようとする。
暫く口を金魚みたいにパクパクさせた後、ベッドに座っている俺の横に静かに腰かけた。
依然、顔は赤いままだ。

「なんで突然そんなことを言い出すんだ」

理解できないと顔に書いてある。
中に、佐山の精子が、遺伝子が、欲しいだなんてそんな女々しいことは言えるわけは無くて。
なんとなく、その一言で済ませた。

「あー…あれだ、前にも言っただろ、つけた方がいいってのは」
「言った」
「なら、そういうことだ」

この話はここまでだ、とでも言いたげに顔を背ける佐山。
それが羞恥からくる態度としてもいただけない。
そうだけどさ、そういうことじゃないんだよ。

「でも、中出ししてもいいんだろ?」
「腹壊すだろ」
「ちゃんと出せばいいじゃん」
「そういう問題じゃない」
「じゃあどういう問題なんだよ」

佐山が言葉に詰まる。
そして憮然とした表情で静かに口を開いた。

「……雪十、なんか今日おかしいぞ」

そんなの俺もわかってるよ。
でも、自分じゃ制御は出来ない。

「ゆきと」

甘やかされるように名前を呼ばれて少し顔をあげる。
少し困ったように微笑んでいる佐山が愛しくなって胸が暖かくなる。
くすり、勝手に口角が上がる。

「何、笑ってんだよ」

そう言う佐山の声も笑っている。

「中出しさぁ、すればいいじゃん」
「……まだ言うのか」

笑顔だったのが急速に苦虫を噛み潰したような顔になっていく。

「だってゴムも高いし、生のが気持ちいいだろ?いいじゃん」
「……それはそうかもしれないが、」
「ならいいじゃん」

ずい、と佐山の方に身を乗り出すと気圧されたように眉が下がる。
こんな時の佐山は犬みたいだ。
深い溜め息をつかれて、目線があった。

「……あのな、雪十」
「ん」
「俺だって男だし生でいいじゃないか、そんなことを思う時もある」
「ん」
「……でもな、雪十。お前に負担をかけたくないんだ」

すっと目が優しく細められて髪をすかれる。
優しい瞳にぶつかると何も言えなくなる。
そのまま佐山に凭れかかる。

「……ずりぃよなぁ」

鼻先を佐山の胸に押し付けて呟く。
こうやってまた俺を離れられなくする。
やっぱり、俺を想ってくれる、コイツが好きだ。


END


攻:佐山
受:雪十

実は虹の使い回しだったり


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