「拓哉〜!!」
キャンパス内を歩いていたら、ぎゅっと後ろから少しの衝撃と温もり。
そして君の香り。
胸が苦しくなって大きくひとつ息を吐いた。
ふとしたときに好きだと何度も実感させられる。
好きだなんて言えないけど。
「陽斗、お前なぁ…」
「ごめんってさぁ!」
だって愛しのダーリンが帰ってきたからさぁ、なんて
ああほんともう君は無自覚に俺を苦しめるね。
それでも好きだなんて
「ほら、陽斗。さっさと俺に会いたかった理由がゴールデンウィークに行ってきた沖縄のお土産だってこと白状しなよ」
「うっ…バレたかー!」
そんなことを言いながら一緒に歩く。
陽斗の手にはちゃっかり俺からのお土産と見覚えのないストラップが握られていた。
「陽斗、それ誰から貰ったの?」
暗にその手の中のストラップだと仄めかして答えを待つ。
「ああこれ?高城!」
なんか高城も青森に遊びに行ったみたいでさー。そんな陽斗の声は俺の耳を通り抜けていった。
高城隆夜。
俺たちの友達であり、俺にとっては天敵。
それには単純明確な理由がある。
それはアイツが俺のライバル、所謂恋敵になるからだ。
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