side:涼 3



そんな俺の思いは簡単に打ち砕かれ、シュウはより一層笑みを深めた。

「はろー、菜月ちゃん?」

いつもはアホみたいに聞こえるシュウの声が今はただ腹立たしかった。
少し身体を強張らせながら菜月が口を開く。

「な、なんですか」

きっとえろ教師とか思ってあの全開のボタンについて突っ込みたいのだろう。
本当に菜月は分かりやすくて俺をいつも笑わせてくれる。

「ん?菜月ちゃん俺の顔に何かついてる?それとも俺が格好良すぎて惚れちゃった?」
「それはないです」

ふざけるシュウに真顔で即答する菜月。
その相対する表情が滑稽だった。
菜月のシュウを見る目が残念なものを見る目に変わる。

「なんだぁ、菜月ちゃんはノンケな訳ね、」

残念そうに目を細めるシュウの瞳の中に愉しそうな色が浮かんだのはきっと気のせいではない。

「俺は桃井脩斗。よろしくねーん?」

いつもの三割増しシュウの声にイラついた。



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