02


もしかしなくてもこれは貞操の危機ではないのだろうか。
簡潔に言うと俺は今さっきまで先輩方がにゃんにゃんを致していたマット、恐らく体育の授業で使われなくなったものの上に押し倒されている。
なんか変な液が付いてないといいんだけど…。
捨て台詞を吐いて少し冷静になった俺は逃げることを選択したのだが般若先輩の瞬発力には勝てず、見事に胸ぐらを捕まれ転がされてしまった。

おーまいごっと…

今更ながら大変なことをしてしまった。
恐らく先輩は親衛隊持ちだし、この階には各学年のA組しかいない。
それに先ほど見た光景から先輩はタチだ…さっきのネコの先輩は下に駆け降りていったし。

そりゃあ学校も狼の中にウサギを放り込んだりしたらまずいことはわかっていたのだろう。

…だからといって、いっちゃん達は俺がどちらかというとウサギ側で有ることを配慮しなかったようだが。


まぁ、そう冷静に分析している俺であるが正直そんな場合じゃない。
目の前の先輩の瞳が完全に欲情した雄の瞳で。
極自然に喉が鳴った。


「おい、平凡。さっきのセリフもっかい言ってみろよ」

マットに縫い付けられた手首に更に力を込められる。
痛い、なんて馬鹿力なんだよ。
痣になったらどうしてくれる。

「俺はネコじゃないんであんたには突っ込まれません」

内心すっげーびびってるのに口は達者な自分が憎い。
とりあえず俺の貞操は大ピンチ(っぽい)。
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