「そっか、ありがと安田くん」
頭悪そうな喋り方とか思ってごめん、心の中でそう謝りながらお礼をいい、その場を後にした。
教室の外に出ると、廊下にはイケメンのいかにもタチですって感じの人達が沢山居た。
むしろタチですって感じの人しか居ない。
きょろきょろと辺りを見渡すと、凉がいて近くに駆け寄る。
「凉!」
俺の声が聞こえたのか、凉が振りかえる。
「菜月、何?」
少しぶっきらぼうに答える凉に俺は首を傾げた。
「凉、何かあった?」
心なしか機嫌もわるい。
たぶんこれは結構仲がよくないとわかんないけど。
「…別に」
ふい、と顔を逸らされた。
嘘を吐いてる。
それぐらいはわかる仲だ。
こんな風に拗ねたように嘘を吐くときは絶対にそれを教えてくれないこともわかっている。
触らぬ神に祟りなし、俺は凉様のとばっちりに合わないように逃げ出した。
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