02

ああ、それで何でそれがこの学園の方針に関係あるのかと言うと、簡単に言えば我が家の三姉妹は、まぁ、所謂男性同士の恋愛を好む腐女子というものらしいのだ。
最初それを知ったときはびっくりした。
姉達も最初は気まずかったようだが、何故か開き直って今では学園で起きたことを逐一報告するように言われている。
何が悲しくて俺は男同士の恋話を聞かなきゃいかないのだ…。
まぁ、それは俺のお財布をとても潤わせてくれるのでやめるにやめれないのだが。


若干話がそれたが、いっちゃんはこの学園の存在を知ったのは、今年の1月のことである。
それは俺がこの学園に入るきっかけにもなった。
両親が仕事で海外に行っていたのだが、それが延長されたのだ。
うちの両親は顔こそ平凡だったが仕事の業績はよく、それで状況が芳しくない海外の支社を立て直すためのプロジェクトメンバーに選ばれて海外にいたのだ。
そこでの業績が更に評価され、他の支社に行くことになり期限が伸びたのである。
そこで慌てたのが両親である。
俺は戻ってきた両親と共に自宅から公立校に通う予定であった。
別に俺ひとりでもなんとかなると両親に電話で伝えると、両親は電話越しにも判るぐらい取り乱し、お前ひとりでは人間らしい生活も出来ないとまで言われ、それを見かねた祐輔さんが、この学園の事を両親に話したのだ。
実は中学2年の時にも同じことは起こっている。
その時比較的近くにあった学園の寮に特例で入れさせてもらった。
そして、その時の用に両親は喜んでその話にのり、俺の知らないところで話は進んでいた。
…俺の人権は無視ですか。



いっちゃんは『全寮制の男子校』とわかった瞬間、祐輔さんを殴った。
いや、うん。
我が姉ながら頭大丈夫かなとか思った。
怒った理由聞いて更に大丈夫かなと思ったけど。

「なんで私にそんな旨い話言わないのよ!!!!!!!!!」

俺も祐輔さんもポカーンとなったね。
でもこれが正しい反応だ。
決していっちゃんの後ろでこちらを睨みながら激しく頷いてるにこちゃんとみこちゃんが正しい訳じゃない。
負けるな、俺。
俺が負けたら、祐輔さんも負ける。
俺が唯一の良心だ、常識だ。

「い、いっちゃん、落ち着いて」
「あ゛ぁ゛?これが落ち着いてられるかぁあああああ!!!!!!!!!」
「ひぃっ!」

日向菜月15歳、姉の剣幕に負けました。
きっといっちゃんは前世がヤンキーだったんだと思います。
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