俺の目の前に立ついかにもチャラいですって感じの人は軽く手を上げる。
「はろー、菜月ちゃん?」
なぜ疑問系なんだと思いながら、返事をする。
「な、なんですか」
少しごもったのはご愛嬌。
だってそりゃあ今まで身の回りに居なかったようなタイプの人だったから緊張したってのもある。
その前に、彼はボタンを開けすぎではないだろうか。
俺の目が可笑しくなければひとつも止まってない気がするのだが。
あと、彼が掛けている眼鏡。
普通、眼鏡って掛けたら真面目に見えるもんじゃないのか(偏見)。
なのにこの人の場合エロ教師だろ、確実に。
しかも、赤っぽい茶色の髪とよくあっていて格好いい。
…イケメンは滅べ。
「ん?菜月ちゃん俺の顔に何かついてる?それとも俺が格好良すぎて惚れちゃった?」
「それはないです」
あ、しまった即答してしまった。
後ろで凉が吹き出したのが判った。
「なんだぁ、菜月ちゃんはノンケな訳ね、」
そんな事を呟きながら近付いて来る彼。
「俺は桃井脩斗。よろしくねーん?」
差し出された手は意外に大きかった。
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