さああ、と雨が降る。
それを見て、行平は舌打ちした。
(どうやら、神さんはあの女の味方らしい)
そう考え、溜め息をつく。
(これじゃあ、いつまで経っても暗殺しに行けねえ)
早くしなくては、と焦って居る自分に気がつき自嘲した。
大の字になって寝そべると、雨の音が床を通して聞こえてくる。
「あーあ、実平生きてるかなー」
そう呟くと、本能に従い目を閉じた。
* * *
さああ、と雨が降り続ける。
それを見て、つららは嘲笑った。
つららが扇子を一振りすると。雨の落下速度は極端に遅くなり、そして氷に変わった。
「つららあ、雨で遊ぶのも良いすけど、奴を探しましょーよう」
先程からそればかりを繰り返しているつららを見て、コウが嘆く。
「探しているだろう。ほら、現に今もちゃんと町中を歩いているぞ!」
確かに歩いている。いるのだが、意識はどこか上の空だ。
そんなつららを見て、コウはほうっと溜め息をついた。
「今日は探すのやめにしましょっか」
コウがポツリと呟くと、つららは物凄い勢いで振り返った。
「!?」
驚いているコウを見て、つららはニッと笑う。
「なんでもないぞお、行くか、コウ」
つららがコウの言い方を真似して言えば、コウは呆れたように笑った。
△ ▽