![](//static.nanos.jp/upload/f/fancyparadox/mtr/0/0/20100224221103.gif)
『ずいぶんと大人気ないわね』
「……なんの話ですか?死誘」
全ての子供たちの互いの会合の記憶を消した忌司は、呆れ顔で自分に言葉をかけた死誘をみた。
『元彬ちゃんを独占したいからって、記憶を消しちゃうことはないじゃない』
「…私はそんな気持ちで記憶を消したんじゃありません。
神域を汚されるのが嫌だっただけで…」
「忌司」
静かな声が忌司の耳に届き、忌司は死誘から顔を背けた。そんな忌司の姿に死誘はため息をついて、頭を撫でる。
「ッ!」
『私達は怒っているわけじゃないの、むしろホッとしてるの』
死誘はそう言うと微笑んだ。
『忌司があんなに関心を持った人を初めて見たもの。私達みんな喜んでるの』
「は…?」
『基本的、自分勝手な忌司にはあれくらい手間のかかる子が側にいたら性格良くなると思うからね』
「な…! どういう意味! 死誘!」
『言った通りだよね──死誘ちゃん!』
『主は私達の前では子供のようですからね』
『忌司は甘えん坊だからなあ〜』
死誘の言葉にクスクスと、目には見えないが声が聞こえてきて、その声に忌司は一瞬顔を引きつらせた。──が諦めたようにため息をつくと、辺りから笑い声が聞こえてきた。
忌司はその笑い声に顔をまた、しかめたが、死誘は小さく微笑んだ。
(私達では忌司を【人】のままでいらせることはできないから)
(ごめんね、元彬ちゃん)
(忌司が望むかぎり、貴方は他の人の手を掴んではいけないの)
より多くの【自分】を与えるため
(人柱になってもらわなきゃ、ね?)
△ ▽