墓地へと運ばれていく焼けた人たちを見送りながら、つららは心が冷えていくのに気付いた。

「つらら、顔怖いっすよ」
「そんなの元からだ」

(あの者たちを殺めたのはおそらく魔法使いだろう)

 自分の家へと帰っていく民を見ながらつららは思った。

「コウ」
「何すか?」
「火を使う強い魔法使いの存在を知っているか?」
「ああ、行方不明になった奴ですね」
「先程な者たちは魔法で殺されたような感じだった。体の内部に火がつき、それが外へ出たような」
「でも、それが強い魔法使いと何の関係があるんです?」

 コウはつららの顔をしげしげと見つめた。

「内部から体を焼き殺すには相当な技術が必要とされる。だいたいの火使いは外から焼くが……」

 つららはそう言いかけて考え込む。

(つららは、水とか氷っぽいなあ)

 コウはつららを見ながらそう思った。

(いや……さっきまで空飛んでたし風か?)

 コウはつららとは全く違う事で考え込む。

「もしかしたら」

 そんなコウの心境を知ってかどうか、つららは口を開いた。

「奴は"自分は強い"という事を私に示したかったのかもしれん」
「は? 何故です?」

 素っ頓狂な声を出したコウを見てつららはグイと口端をつり上げた。

「私への宣戦布告だと解釈する」

 絶対零度の瞳を、コウは見た。





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