急に部屋を訪れた人物に澄信は見覚えがあった。
「お久方ぶりです、澄信公」
「……功風殿、ここに来るにはまず従者を通してからには出来なかったのか」
「いやあ、すみません。ちょっと血が騒いでしまったモノですから。で、何故行平様がここに居ることをさっさと報告してくれなかったんです?」
「それどころではなかったのでな」
「盟約を破ってもらっちゃあ困りますよ。──ですがそのおかげでつららさんという逸材を操れてるんですが」
「なっ!」
澄信だけでなく、周囲にいた人たちの目も見開かれる。
行平は持っているクナイをさらにきちりと持ち直して、つららの胸元を見る。
そこには、黒く暗い雰囲気を漂わせた勾玉があった。
△ ▽