近付くと、話し声が聞こえた。

「この氷、どこまで続くんスかね、先輩!」

「それにしても本当に奇妙なところだな……視覚と体感がまるで一致せん」

「なんか魔法みたいだなー」

「そうですね。もしそうだとすればメルヘンチックで良いです」

「慧可愛いっ……俺王子様、慧お姫様!」

「俊が王子様とか、姫かわいそー」

何ともつかみどころのない会話だった。

つららとコウはわからない言葉に戸惑いつつ、先ほどの会話を分析する。

「コウ、あの者たちは"魔法"みたいだと言ったな?」

「そうっスね、でも、その言い方ってまるで……」

「"魔法"という言葉は知っているが"魔法"そのものは実在せん、というような言い方だな」

そのような事はこの世界では有り得ない。現に、自分は今魔法使いなのだ。それに、能力の差はあるが、村にも魔法が使える者がいないわけでもないし、第一皆"魔法"の存在を知っている。少なくとも彩崎の人間はつららが空を旋回して警備を行っているのを見ているはずだ。

「接触してみる価値、有りか」

コウが頷いた。




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