氷があたり一面に広がっていた。木々は凍りつき、太陽の光を受けてキラキラと反射していた。

慧は眉を潜めた。未だ眠っている他の四人をチラリと見て、溜め息をついた。

「ん、うん……」

ムクリと龍が起き上がった。

「起きましたか」

「うん……ってどこだここ!?」

目を擦っていた手を止め、龍は辺りを見渡した。だが見えるのは氷ばかり。

「氷付けの世界……」

龍がポツリと呟いた。

「……きれいだ」

「……そうですね」

太陽の光は暖かかった。慧は違和感を覚えた。

「──おかしいですね」

「え、何が?」

龍はキョトンとした。

「確かにおかしいな」

「蒼。起きたんですか」

「どこがおかしいんだよ。というか一面氷付けなとこだけでもう十分おかしい」

碍も起きて、蒼に突っかかった。それに俊も加わる。

「そうっスよ、俺はその意見に賛成っス先輩!」

「それも十分おかしいですが、もっと奇妙なことがあるんです」

慧に視線が集まる。

「寒くないのに何故氷は溶けないんです? 氷自体はヒヤリとしてますが触っても溶けませんよ」

慧は掌に氷を乗せていた。一同は暫く氷を観察していたが、その氷は確かに溶けることはなかった。

「──調べる価値がありそうだな」

蒼の言葉に、頷いた。そして、慎重に歩き出す。



最果てで出会う



張っていた結界が、震えた。

「……何だ?」

「どうしたんスか、つらら」

急に扇子を振る手を止めたつららに、コウが訊いた。つららはそれに答えず、神経を集中させる。

何かが、動く気配がした。それは動物などではなく。

「──人?」

「え、人がどうかしたんっスかー?」

つららはさらに、その人が一人や二人だけではないことを感じとった。

「何か、変な気配を感じないか?」

「え、あ──そう言われれば」

「行ってみるぞ」

そんなに大きく結界は張っていない。そんなことを考えながらつららは向かった。




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