鳴り響く、その猛々しい音とともに思いっきりボールを蹴った。



【仲】



「負けたね」
「…はい、すいません」
こっちのチームの惨敗で終わった試合は目の前にいる少女の気分を酷く害したようだった。そして、その理由も生憎自分には検討がついてしまう。
「勝つ、と言ったよね」
「はい」
「私達、明日演奏会って言ったよね」
「はい…」
「でも、【応援がないと勝てない】って言って無理やり連れ出したわよね…?」
「…本当に申し訳ないです」
少女の怒りの理由はやはり予想どおりのもので、それに対して俺は弁明することができない。…まさしくその通りなのだから。
「…んとにダサいしみっともないわね。なんでサッカーなのに2桁とられてるのよ。2桁なんてみたことないわよ」
「あ、それは俺も思う」
「…アンタがとられたのよ」
「…すいません」
少女は呆れたようにため息をついて俺の胸倉をつかんだ。まさか、殴られるのか!?
「ちょ、ちょっと待って!負けたのは本当に悪かった!でも殴ることはないんじゃないか!?」
慌てて残った手で防御に入る俺を少女は驚いた顔をして、すぐに呆れた顔になり、俺を見下ろした。
「…殴らないわよ」
「え、あ、そ、そう?よかった〜」
ホッと胸をなで下ろす俺に少女は一枚の紙を取り出した。
「罰として、これ買いなさい」
「え、まさかの悪徳商法…」
少女から拳骨を一つ食らって、目の前に差し出された紙を渋々受け取ると、そこには大きく【定期演奏会】とかかれていた。
「…明日の演奏会、チケット余ったから買いなさい。ちなみに一枚500円。」
少女はそう言って俺に手を差し出した。
「もちろん、買わないなんていわないわよね?」
「はーい…」
苦笑いでチケットを受け取って財布を開く、これで明日の練習がつぶれたこと今月の小遣いかいがピンチになってことに心の中でちょっと泣いて、それでもチケットを渡してくれたことにちょっとよろこんだりして。
「楽しみにしとくね」
「…寝たりしたらぶっ殺すわよ」
少女が笑う、俺も笑う。二人ともが笑って明日を待った。



吹奏楽少女とサッカー少年
(なんだかんだと言っても仲いいんだよ)



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -