*3 きっと、また、この掌に
大好きな貴方と二人で歩く帰り道。
お互いの指を絡め、他愛のない話をすれば…気付かぬうちに私の家。
こうして必ず家まで送ってくれる…そんな貴方の優しさが嬉しくて、1秒でも長く一緒に過ごせる事が幸せで…。
……だからね。貴方と別れがやけに虚しく感じるの。
もしかしたら明日は逢えないかもしれない、今が最後かもしれないって。
不安は募る一方、身体は正直で…
“おやすみ”
背を向け、その場を去ろうとする貴方の服の裾を…無意識のうちに掴んでた。
それはまるで“離れて行かないで”
そう訴えるかの様で。
すると貴方は私の頭を優しく撫でながら、いつもの穏やかな眼差しで…私の手を握ってくれた。
“大丈夫、僕は離れて行かないよ?”
再び別れを告げて未だ彼の温もりが残る手の掌を自分の頬にあててみる。
明日もまた、貴方の体温を感じられますように………
そんな僅かな願いを込めて。
あとがき
はい、七海が恥ずかしくて死ぬ恋愛物パート2です…さっきはあからさま悲恋だったので今度は純愛をテーマに!
寂しがり屋の彼女を優しく包み込んでくれる彼。
恋愛経験のない七海がこんな内容を書いても何の説得力もありませんが…こんな優しい彼に惹かれます(笑)