My younger brother | ナノ





外弁慶 (2/7)
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「どうしたの?」




近くに行ってたずねると、彼女は目をキラキラさせて答えた。




「里奈に会わせてほしいっていう他校の男子が来てるみたいなのよ!ほら、あそこ!」




そうして指を差された方向を見てみる。

私達の教室は1階で、
その窓からはちょうど校門の前に立っている1人の男子生徒を確認できた。




「…あ」




ものすごく見覚えのある容姿だ。




「どれどれー?」

「どんな子?」




興奮気味に話す彼女の声を聞いて、
さっきまで一緒に弁当を食べていた2人の親友も窓辺に駆け寄ってくる。




「あの黒髪でクセっ毛の子!超可愛くない!?」




心底楽しそうにそう言う。
2人もきゃあっと声を上げた。




「ほんとだー可愛い!てかあれ中学生じゃない?うちらと同じ高校生には見えないよ」

「確かに!あんな色のブレザー、この辺で見かけないね?私立かな…」

「あっ、里奈!あの子こっち見てるよ!!」

「キャー!可愛いかっこいいー!!」

「あんな子に狙ってもらえるなんて里奈羨ましすぎー!早く行ってきてあげなよっ!」




思い思いに騒ぐ3人。




「う、うん…」




あー…
皆絶対勘違いいしてるだろうな。

まさか彼が、


私の実の弟だとは夢にも思ってないはず。


…それにしても、何でここに?





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