My sick boy | ナノ





フェアリーテイルは檻の中 (1/6)
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「ねえ、見た?」

「見た見た。さっきの急患の男の子でしょ?」

「そうそう」




枕元で、聞き慣れた2人の看護師の声がして眠りから醒めた。

仕事中の私語。
死ねばいいと思った。

でもすぐに起きたりはせず、
ベッドに横たわったまま黙ってその話を聞いていた。




「その子、容態は落ち着いたの?」

「ええ、運ばれてきた時よりはだいぶ。付き添いの友達もさっき帰ったところよ。もうすぐ彼の両親が見えるんじゃないかしら」

「入院…」

「多分ね。名門私立中のテニス部らしいけど…あれじゃ当分激しい運動は無理よ」

「へー、テニス部…道理で。かっこいいわねー、私あの子がもし本当に入院したら絶対お世話したい」

「ちょっと、何言ってるの。不謹慎」

「あー…そうね、ちょっと言いすぎた。でもやっぱ気になるなー、彼。だって、あんなに苦しそうな顔してたって…まるで」




"まるで、童話の王子様みたいに綺麗な顔してたじゃない?"




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