7月7日 (1/2)
「あーあ…せっかく七夕なのに、雨だね…」
「んー?あー…そうだな…」
しちがつなのか。
七夕。
今年のこの日、私はブン太と放課後を教室で過ごしていた。
今日はテニス部が男子も女子もなぜか休み。
だから平日に2人でゆっくりできるのはとても久しぶり。
「でもなんかさ、七夕の日って雨の日多くない?」
「あ、確かにそんな気すんな。ただでさえ年1回しか会えねーのにかわいそー。織り姫サマと彦星サマ」
「……」
"織り姫サマと彦星サマ"て…
小さい弟たちいるからその影響かな?
可愛いなぁ。
そしてこの時、いいことを思い出した。
「ね、今日って七夕限定ケーキとか売ってるらしいよ!買ってかない!?」
「マジで!?行く行く絶対行く!!」
「よし、じゃあ帰ろう!」
「おう!」
急にテンションが上がった私たち。
外は滝みたいな大雨だったけど一切気にせず、学校から最寄のケーキ屋まで全速力で走った。
私は足が特別遅いわけじゃないけど、
その時の猛ダッシュのブン太にまあ追いつけないこと。
「ま…待ってブン太ああー…はぁ…はぁ…」
店にたどり着いたときにはもう。
すでに買い物を済ませてケーキの入った箱をいくつも抱えたブン太が、
得意げな顔をして私を待っていた。
「悪ぃな、置いてっちまって。とりあえず七夕限定って書いてあったケーキは全部買ったから!今から俺ん家で食おうぜ!」
「う…うん…」
…さすがブン太。
本当歪みないです。
この際「私を置いてくなんて…私とケーキ、どっちが大事なのよ!」
とか突っ込むのはやめます。
「さっ、行くぞ!雨もマシになってきたし!こりゃ夜までに止むんじゃね?…ほら、中入れ!」
開いた傘を私の方に近づけて笑う彼。
その色は淡いペパーミントグリーン。
あなたをすぐに連想させる、グリーンアップルガムの色。
「…うん!」
私はもちろん喜んで、その傘の中におさまった。
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