はいはいリア充リア充 (3/5)
「え…」
あの丸井先輩が、俺に謝った。
しかも結構真剣に。
もっと怒るつもりだったのに、それにびっくりして一気に力が抜けた。
「いや、謝ってもらうっていうか…」
俺はジャンプさえ返してもらえればそれでいいんスよ…と言おうとして、
今度はガシッと両肩を掴まれる。
「来週の日曜部活ねーだろぃ?」
「ああー、確か」
「…その日、亜希の誕生日なんだ」
「へー…そうなんスか!」
亜希先輩は丸井先輩が愛して止まない彼女。
2人は学校中の誰もがうらやむ美男美女カップル。
「んでせっかくだし、全部俺の奢りでディズニーランド連れてってやろうと思ってさ。今金貯めてんだよ」
「!!」
それを聞いてまたびっくりした。
最近、部活の後寄り道に誘っても付き合おうとしなかった理由はコレか。
買い食い命の丸井先輩がたった1人の彼女の為に、
自分の好きなものを堪えて努力してるなんて…!
「あ、当たり前だけど亜希にはまだ言うなよ。この募金活動だって亜希がいない時にこっそりやってんだからな」
「……」
全然こっそりじゃねーし。
正直そのやり方も、
ファンの女子をターゲットにした品のいいカツアゲっぽかったけど。
いつもみたいに余裕こいてなくて、
いつもバカにしてるはずの後輩に頭まで下げて、
「…分かってますって。言ったりしないっス」
いつもよりカッコ悪くて、いつもよりずっと。
…ずっとずっと、カッコいいと思った。
悔しいけどな。
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