恋情ピュアグリーン (2/6)
「しかし、突然の報告で驚いたな」
「私も!ていうかその彼女って、確か浮気に気づいたとき素手でアンタの顔面殴った人だよね!?」
「…その話にはもう触れないでほしいっス」
「あのあと和解したんだ!それとも殴られたから惚れ直したの?やっぱ赤也ってマゾだったのかー」
「イヤイヤ勘違いしないでくださいよ!それからまあ…いろいろあったんスよ。んでこーいう形に落ち着いたんスって」
「いろいろ…か。興味深いな」
「そっか。何にせよめでたいねー!」
「…へへっ」
でしょー、と笑った可愛い後輩が憎かった。
それにこの知らせを聞いてから、
私の心は今までよりいっそう強くあるものを意識し始めていた。
現在私の彼氏である柳蓮二との…
結婚。
まだ早いかな、とは思うけど。
年下の赤也に先を越されて、動揺してるのは確かで。
「あ、そうそう。それで二人に渡したいものがあって」
「ん」
そうして彼が差し出したのは、結婚式の招待状だった。
「うわあ…」
「…ほう」
これが噂の。
実を言うと私、これまで人の結婚式なるものに出席したことがない。
どんななんだろう。
何着ていけばいいんだろう。
よそ行きのちゃんとした服ってあんまりいいの持ってないからなー…
そんなことを考えていると、
まさにぴったりのタイミングで蓮二が私に言った。
「蛸西」
「ん?なに、蓮二」
「今度一緒に、式に着ていく服を見に行かないか」
…わ。
「行く行く!!」
すごい。
さすが蓮二だ。
きっといつでも、私の考えていることなんて手に取るように分かるのんだ。
「そうだなあ…蓮二はスーツより絶対和服が似合うよ!」
「…そうか。ならお前も着物にしたらどうだ」
「えー似合うかな?」
「俺が保証する。2人で、お互いが1番いいと思うものを選ぼう」
「キャッ!!」
というわけで、後日。
蓮二と私は、彼の親戚が経営する呉服屋で礼服を選びに行くことになった。
「んで、今回は教会じゃなくて神社でやる神前式なんスよ。2人とも俺の大和男児な晴れ姿、しっかり目に焼き付けて…」
「迷うだろうなー。多分蓮二どの色着てもめちゃくちゃかっこいいもん」
「お前こそ…何を着ても、映えない確率はほぼ0に等しい」
「やだもー蓮二すき!超すき!!」
「…って聞いてんスかアンタら!言っときますけど主役俺なんスからね!!」
正直この日以降。
私は赤也の結婚なんかより、
蓮二に似合う着物のことで脳内が大半を占めていた。
…許せ愛後輩。
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