410型ウイルス (2/7)
「さぁー今日からまた練習頑張ろ…ってうわあ!!」
「どないしたん謙也。そないでっかい声出して…ん?……おぉ!」
「あら!麻衣ちゃんと財前ちゃん!?」
「朝っぱらからようやりよるわ…なぁ小春。俺らも大概やけど」
「青春ばい!」
「えらいオープンなこっちゃ」
休み明け最初の部活。
「ちょ、違いますって先輩ら!…麻衣先輩キモいっす!いい加減離れてください!!」
「嫌ぁあもうちょっとこうさせてぇえ!!」
「ウザいわマジで!!」
朝イチで部室に来ていた財前を見つけて襲いかかり、
抱きついて意地でも離れないあたし。
後からやって来た3年レギュラー陣が、
そんな光景を見て驚いた声を上げた。
「なんや麻衣、自分この休校中に財前とくっついたんか?ほな俺らにはよ報告せいっちゅー話や!」
ニヤニヤする謙也に、
「誤解や…」
あたしの腕にがっちりホールドされたままの財前がぼそっと呟く。
…そう。
彼の言うとおり。
別にあたしらは付き合ってるわけじゃない。
あたしが彼を捕まえて離さない理由は、他にあるのだ。
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