My loving mates | ナノ





familiar (5/9)
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「おーおー、こりゃ皆さんお揃いなこつで…ほれ、ガリガリ君買ってきたけん、食べなっせ」

「うわあああああああんくーちゃんのあほーー!もう帰らん!あんな家帰らへんもおおおん!!」




大きなスーパーの袋に大量のアイスのパックを詰めた千歳と、
彼の手を握りしめ大きな声で泣いている友香里ちゃんが入ってきた。

ちなみに友香里ちゃん。
白石の2個下の妹で、白石同様超絶美形。

そんな彼女の突然の登場に驚き、慌てて声をかけようとすると、
それより先に部員のみんなが口を開いた。



「おー千歳!アイス買うて来てくれたん!?」

「なんやソーダかいな…俺コーラがよかってんけど」

「む。ならユウジは食べんでよか」

「ほなワイが代わりに食うたるわ!!」




…ってガリガリ君かいな!
アンタらどう考えてもこのいたいけな少女への配慮が先やろ!!

そんな自己中丸出しの野郎どもはさておき、
あたしは千歳と友香里ちゃんの元に駆け寄った。




「どないしたん千歳!何でこの子ここにおるん!!」

「さっきコンビニの帰り道で拾ったと」

「拾ったて…まさかアンタゆ、誘拐!?」

「人聞き悪かね…"くーちゃんとケンカして家出してきた"言うてこの辺ウロウロしとったけん、心配でここに連れてきただけばい」

「ああ、なんや…ビックリしたわ」




あたしはしゃがみこんで友香里ちゃんの方に向き直ると、
慎重にたずねた。



「あの…ゆ、友香里ちゃん」

「な…なんですか」




涙を拭いてぐすぐすと鼻をすすりながらも、
年上のあたしにはきちんと敬語を使う。

うわよくできた子!
そんでもって金ちゃんに全力で見習わせたい。




「いや、あんな。白石が…お兄ちゃんが心配するし、もうちょい時間遅なったらおうち帰りや?あたしら送ってくし」

「い……」




嫌や…と言おうとしたらしかったけど、





「ホラ、友香里ちゃんも1本食わんね?」




なんてアイスの棒を差し出してきた千歳に遮られて、
その言葉は「…いただきます」に変わった。

こいつはKYというか何というか本当に「空気?何ねそれ?」という感じだが、そのおかげで再び話を繋ぐことができた。



「とりあえず…なんで家出しようと思たん?」

「そ…それは」






…聞いたところによると。

友香里ちゃんにはお姉さんがいて(つまり自動的に白石にも)、
たまに彼女から借りる私服がめちゃくちゃ可愛くて、気に入ってたらしい。

そんで休日はよくそれらの服を着てどこかに出かけるのだけど、
友達と遊びにいくことになったある日(それが今日)。

家を出る数分前になって、いつも優しい兄貴が突然自分に放った言葉。




"友香里…あんな。俺、前からお前に言おう思ててんけど"

"ん?なに、くーちゃん"

"…お前がよく姉貴から借りた服着とんの見るとなあ、兄ちゃん心が痛むんや"

"…は?"

"いや…せやからな、"

"!!"




友香里にそない大人っぽい服は全然似合うてへん。
無理して背伸びなんかしてどないすんねん、そんな格好して誰に見せるねん?
そんなもん無駄や、無駄。
悪いことは言わんから止めとけ。






「…なんじゃそらああああああ!!」

「あかん、思い出したらまた悲しなってきました…うわあああん!!」




そのあまりにデリカシーのない発言に、
あたしとガリガリ君を食べ終えたみんなは寄ってたかって彼を非難した。




「何なんアイツほんまありえへん!人ちゃうやろ!!」

「確かにそいは白石が悪か。こぎゃんむぞらしか妹に…」

「ホンマやな!何が似合うてへんてあいつがこの子の兄貴やっちゅー話が1番おかしいわ!!」

「友香里ちゃん気にせんとき!今日はアタシらと一緒にここ泊まりましょ!ね!」

「う、浮気か小春…いや。確かに白石はありえへんな。分かった…好きにくつろげ、小娘」

「友香里ー、一緒にマリカしようや!飽きるまでやろな、白石んとこなんか戻らんでええ!!」

「友香里、俺の個人的な妹になってくれへんか」

「どさくさで何ちょっとキモいこと言うてんの財前」




何かあたしがここに転がり込んできたときと反応の差がある気がするけど(主に一氏)、これで家なき少年少女は7人揃った。

こんなにいたいけでデリケートな心を持つ時期の妹に対して外見のダメ出し、
並びに「似合わない」やそれに準じる無神経な言葉を投げかけるなんて言語道断、外道の極み。
神に裁きを下され永久まで浄悪の鎖に繋がれるべき、許されざる大罪である(なんかやっぱちょっと財前化してきてる感は否まない)。

あたしは腹から声を出してみんなの士気を上げることにした。




「…ウチらが一緒なら怖ない!」

『怖ないっ!!』

「誰が迎えに来ても戻らん!」

『戻らん!!』

「あっちが謝ってくるまで絶対帰ったらへんからなー!!」

『おおおおおおっ!!』




みんなで円陣を組んでそうやって意志を固める。
うん、いいテンションだ。

すると、今まで微動だにせず座禅を組み続けていた銀が目を開き、ふと呟いた。




「白石はん…いつからそんなお人やったかいのう」

「ん?」

「友香里はんに言わはったその言葉には」

「え」

「もっと他に、ちゃんとした意味があったんとちゃうやろか」

「なっ…」




って、何や銀!
銀は友香里ちゃんにあんなひどいこと言ったアホ石を庇うんか?





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