同属嫌悪 (3/4)
「じゃ、帰るわ。サヨーナラ。もう2度とあたしに関わらないで」
「おいおい…礼の1つぐらい言ったって罰当たんねーだろぃ」
呆れて溜息が出た。
というかむしろ、反吐が出そう。
「自分の手で殴ってまでしてあたしを助けようとは思わない奴に、生憎言う礼なんて持ち合わせておりませんので。写メで脅すことしか出来ないなんて陰湿なバカ女みたいね。最低」
「…俺、夏にテニスの大会控えてんだよ。あんな奴のせいでラケット握る手ケガれんの絶対嫌だもん」
「……」
自己主張の強すぎる、ピエロみたいなイカれた髪の色。
その辺の女子より可愛い顔と、根拠のない自信にいつでも満ち溢れた表情。
それから普段は飄々としてるクセに、
そうやってたまに夢に燃える純粋少年みたいなことを言うところ。
勘違いも甚だしくて、自分が1番特別だと思ってて。
ヘラヘラ生きてるのに、世渡りばっかり上手くて。
「あたし、あんたみたいな男が1番嫌いなの」
いっっちばん、嫌いなの。
「…そうかよ」
お、下向いた。
今の絶対傷付いた。
ザマーミロ。
うなだれた丸井を満足げに見届けてから、
軽い足取りでそこから離れようとすると、
「俺もお前みたいな女が1番嫌いだ。…いっっちばん、嫌いだ」
そいつは何を思ったか、
あたしを切るのに最も手っ取り早い地雷を踏んだ。
「…は?」
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