オーマイシスター (5/5)
「おっかえり〜雅治!やーんお疲れ様〜!えらかったねーよしよし!!」
家に帰ると玄関で待ち構えていた優里に思いっきり抱きつかれた。
ふわっといい匂いがする。
今俺が、こいつに化けるためにつけてるのと同じ香水。
つけられた時は化粧くさくて息が詰まるかと思ったけど、
こうされてみると案外嫌でもないことに気づいた。
「…ただいま」
「で、どうだったハヤテの反応は?詳しく聞かせてー」
目の前には今の俺とおんなじ顔の優里。
家の中にも関わらず、濃い化粧のその顔。
そんなにベタベタ色んなもん塗らんでも、
俺は風呂上がりにうろうろしてるときのノーメイクの優里が1番綺麗じゃと思うけどな。
なんて、調子に乗るから絶対口に出して言ったりはせんけど。
「あいつのことだから、そんなに簡単にあたしを手放すわけないのにな…あんた何て言って振ったわけ?」
「何、って…」
"重度のブラコンなの。最近中3の雅治が愛おしすぎて辛いのあたし、あはは!"
そう言うとあいつはそれ以上追いかけて、
説得しようとして来なかった。
そのことを知ったら優里、おまん何て言うぜよ?
自分を本気で好いてくれた男をいとも簡単に振った理由を、
"自分が弟に恋をしたこと"にされたら。
そうされたことを知ったら。
「ねぇ雅治聞いてる?ねー何て言って別れたのって聞いてんの!」
「…さぁ、どうじゃろ」
「何よそれ〜!」
ちょっとはその性格、直す気になるんかのう。
〜END〜
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