アメトムチ (2/5)
「たまには姉弟水入らず、一緒にお出かけでもしよっか」
「嫌ナリ」
「そうと決まればさっさと支度して。今すぐそのだらしない寝間着ジャージ脱いで着替えて。今すぐ」
「…嫌ナリ」
俺の粋な計らいにより、こないだ晴れてフリーの女になった優里。
ブン太が言うところの"モデルみたいに美人"な俺の姉。
彼女は今、
「…早くしないと無理矢理脱がせちゃうけどいーの?雅治くん?」
「!!」
男に飢えた女豹の眼をしている。
「ほらほらこのままあたしの腕があんたに伸びてー、」
「わっ…分かったぜよ!着替えてくるき!」
妖しく微笑みながら近づいてくるそいつを回避しつつ、
俺は外出を強いられることになった。
やれやれ…
今日は1人でダラダラ過ごすつもりでいたのにのう…
*
「準備できたー?」
俺が着替え終えると同時に部屋のドアが開き、
すっかりめかし込んだ優里が満面の笑みで入ってきた。
「…あ、ああ」
随分楽しそうなことで。
俺を買い物に誘ったときはいつでもそうだ。
その理由、か?
「なら行くわよー!はいっ、外出た出た!!」
「……」
…この後すぐに分かるき。
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