My boyfriends or My loving mates | ナノ





ブラックハッピーバースデイ (4/5)
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「木下…まだ食うのか?」

「俺…もう限界っス」

「驚いたな…花凜がこんなに」





幸村が私を見て、珍しく苦笑いした。





「…寿司が大好物だったなんて」





*





来店時に赤也と騒いでいたワンピースキャンペーンの、
抽選で当たる豪華商品はゲット出来なかったけど。

私たちはごく普通に食べるのを楽しんでいた。





「あーっ丸井先輩!それ俺の頼んだイクラっスよ!!」

「また頼めばいいだろぃ。ちょうど今俺もイクラ食いたいって思ってたとこだったんだよ」





赤也の注文したネタを、回転レーンの流れる方向上、
先に自分の手元に来たブン太が奪い取ったり。





「におっ…ゲホッ!お前…これッゲホッゲホッ!!」

「…ほたえなや、ジャッカル。寿司にロシアンルーレットは付きものじゃろ」





仁王がシャリにワサビを塗りたくったことを知らず、
一口で大トロ一貫を頬張ったジャッカルが死ぬほどむせ返ったり。

ことに3Bコンビのタチの悪い嫌がらせがその場を盛り上げていた。





「やれやれ…全く、相変わらずですね」

「ああ…それにしても」





ふと、隣のテーブル席の柳と目が合う(と言っても柳の目は閉じたままなので実際に視線がぶつかった訳じゃない)。





「お前はその身体のどこにそれだけの量が入るんだ」





そう言われて驚いた。





「へ?私そんなに食べてる?」





気がつくと真田や赤也がぽかーんとして私を見ていた。






「…ああ、すごい量だ」

「軽く30皿はいってたっス」

「そっか」





それらの反応を特に気にすることはなく次の皿へと手を伸ばす。
そうして食べ進めていくうちに、
ブン太と私以外のメンバーの手が完全に止まった。





*





「…木下、もうそのへんで止めたらどうだ?」





ジャッカルが恐る恐る尋ねてくる。

…あ、そっか。
ジャッカルも私の食べた分の割り勘に参加してくれるんだもんな…

確かにちょっと気の毒だから、もうこの辺で終わっとこう。





「じゃ、じゃあもうこれで止めとくね。…ゴチになりますみなさま!!」

「いーえ。今日から1年、また楽しく過ごしてくださいっス」

「改めて誕生日、おめでとうございます。花凜さん」





ありがとうございますほんと。
みんなの優しさに何度も救われたから、私は今日までやってこれました。





「それじゃあ、おあいそしよっか」

「はーい」





最後は部長がしめて、私たちはレジへと向かった。

そしてここまでがこの日、
私たちがニコニコ笑ってられる最後の瞬間だった。









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