夏の夜の夢 (1/8)
"今からみんなで花火でもしない?"
8月31日。
気がつけば夏休みも今日で最終日。
溜めに溜めきった宿題に追われて切羽詰まってたところで、
部長の幸村から来たメール。
一斉送信されていたその他の宛先を見ると、
見慣れたレギュラー陣の名前があった。
「花火…」
手元に残る大量の白紙プリントを見て一瞬迷う。
だけどその直後、
また同じ着信音を歌ったケータイの画面をもう1度確認したら、
「うわ、一気に9件も来た?」
"絶対行きます! 切原"
"いいじゃんそれ!行く行くー! ブン太"
"プリッ 仁王"
"場所はどうするんだ? 桑原"
"とりあえず学校前に集合、というのはどうでしょうか 柳生"
"了解した 柳"
"よかろう、では後でな 真田"
"イエッサー! 切原"
"わかった。花凜はどうする? 幸村"
「………」
1番最後に受信した幸村のメールで自然と笑顔がこぼれた。
"すぐ行く!走って行く!! 木下"
光の速さで返事して送信して、
気分は時でもかける女子高生の勢いで。
バタンッ
「お母さん、ちょっと出掛けてくる!!」
「えっ!?ち…ちょっと花凜!待ちなさい!こんな時間にどこ行くの!!」
「花火!!」
「花火!?」
ケータイと定期片手に玄関を飛び出したら、
「行ってきまあああす!!」
「こ…こらっ!花凜ーっ!!」
超特急で集合場所に向かった。
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