My boyfriends or My loving mates | ナノ





ブラックハッピーバースデイ (5/5)
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「お支払いはお父様でよろしかったでしょうか?」

『…え?』





そもそも会計で真田を先頭にして並んだのが間違いだったんだと思う。
私たちが店員の兄ちゃんの直球過ぎる質問にア然としていると、





「はい、お願いします。…じゃ、父さんごちそうさま」





今日はまさか出ないだろうと思ってた、
幸村の毒舌爆弾がここで炸裂した。





「…精市?」

「さ、みんな店を出るんだ」

「ま…待て。今日は俺たち部員みんなで払う約束じゃ」

「ほら、何を固まってるんだいお前たち?……早く出ろよ、店を」


『…っえええええうわあああ!!』





…ごめん、真田。
あなたのことは決して忘れない。

私たちは最早サタンの化身にすら思える部長の仰せのまま、
全速力で走って店を出た。






「おっ…おいお前ら!待たんか!!」

「あのお客様、まだお会計が!…お支払い頂く合計金額が3万7千…」

「な…っ!!」





*





「真田はあれで良家の子息だからね。俺らが食べた寿司の金額ぐらい大したことないと思うよ」





店からだいぶ距離の離れた、小さな公園。
そこで立ち止まってゼエゼエ息を切らしていた私たちに、彼が放った一言。





「……幸村…」

「はは、そんなに怖い顔しないでよ柳。…お前だって真田を見捨てて逃げてきた1人で、俺と同罪なんだから」

「…!」

「幸村…お前さんもしかして、」

「…俺たちをハメたんスか?」





信じられないという顔で彼を見つめるみんな。
だけど彼は何食わぬいつもの笑顔で言った。





「人聞きが悪いな。ほんの悪戯だよ。…どうだい花凜、」





そしてぐいっと私の身体を引き寄せて、耳元に口を近づけて。





「俺からのバースデーサプライズは、楽しんでもらえたかな?」





天使みたいな声で、忌み言葉みたいなことを囁いた。





「…ぎ」





ぎゃあああああああ……

畏るるは神の子。
憐れむべきは皇帝。

一体どのへんが楽しむべきサプライズだったというのだろう。
まして幸村以外のどの人間がいい思いをすることが出来たというのだろう。




祝ってもらった?
笑わせないでください。

今年の私の誕生日、今までで1番呪われてる気がしてなりません。





〜END〜






(後日、幸村以外のレギュラーメンバーは泣きながら謝って真田に割り勘分を支払いました)






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